オーロラの下、君を想う
北欧に来る時は、心に重いものを抱えて外の景色を見つめていた。しかし、ルミといると真冬の心はなぜか少し軽くなる。まるで、受け止めきれないものをルミまで一緒に抱えてくれているようなそんな不思議な気持ちがあった。

飛行機を降り、サンタクロース村へと向かう。ここは一年中サンタクロースに会えるらしい。ルミがそう言っていた。

「わあ……」

真冬の呟きにルミが優しく笑う。目の前には、魔法のような景色が広がっていた。

雪をかぶった大きなモミの木、サンタクロースの部屋や郵便局、まるで自分が本の登場人物になったかのような錯覚を真冬は感じる。

なぜ今まで心が動かなかったのに、ルミと出会ってからは心がこんなにも動くのだろう。真冬はルミと手をつないで歩きながら思う。

人工の明かりなどない、森の中へ二人は入った。ルミが、「ここはきれいにオーロラが見えるんだ」と笑う。

オーロラは自然の力で生まれるものだ。見られるかはわからない。それでも、真冬は夜空を見上げ続ける。星がきらめく美しい夜だ。
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