オーロラの下、君を想う
「あなたが声をかけてくれなかったら、私はあそこで死ぬつもりだった。……声をかけてくれて、ありがとう」

最初は死ぬつもりで真冬はフィンランドに来た。しかし、ルミと出会いもう一度生きたいと真冬は思う。日本から遠く離れていても、ルミが頑張っているのなら自分も頑張れると思ったのだ。

空に、美しい光が現れる。彼と見るはずだったオーロラ。それを今、真冬は目に焼き付ける。

ルミとの出会いは、神様からの贈り物だと真冬は言った。ルミも大きく頷く。

「もう振り返らない。私は、最後まで生きるわ。……愛してた」

泣きながら真冬は彼に別れを告げる。それは、過去との決別。もう泣くのはこれが最後だ。

オーロラは優しく二人を見守っていた。



「見送りに来てくれて、本当にありがとう」

真冬はぎこちなく笑う。まだルミのようには笑えない。

今日、真冬は日本に帰国する。ルミともお別れだ。

「あなたの住所、ちゃんとメモしたわ!次は私があなたに会いに行く」
< 15 / 17 >

この作品をシェア

pagetop