オーロラの下、君を想う
ルミは真冬より少し年上だった。目上の人にあんな口の利き方をしたことを、真冬は後悔する。しかし、ルミは「堅苦しいのは嫌だから」と笑った。
ルミに案内してもらうことになり、真冬は列車にルミと一緒に乗る。フィンランドといえば、ムーミンとサンタクロース。ムーミンワールドに行くことになったのだ。
列車の中で、ルミはフィンランドのことをいろいろ真冬に教えてくれた。北欧はお菓子や砂糖の消費量が多く、砂糖税が導入されているということや、フィンランドではエアギター世界選手権や奥様運びレースなど変なお祭りが開催されることなど、真冬の知らなかったことをたくさん教えてくれた。
「フィンランドなんて、ムーミンくらいしかわからなかったわ。あとはオーロラかしら。この時期に来たのも、オーロラを見るためだから」
真冬がそう言うと、ルミは「ラップランドならきれいなオーロラが見えるわよ!」と笑う。
まるで姉ができたみたい、と真冬は密かに思う。こんな気持ちは生まれて初めてだ。