オーロラの下、君を想う
自分の気持ちに、真冬は戸惑った。

ムーミンワールドの近くのホテルに泊まり、次の日も真冬はルミにフィンランドを案内してもらった。

フィンランドの民族衣装を着せてもらったり、自然を満喫したりする。

「真冬!あなた、とっても素敵な笑顔を見せるのね!」

ルミはコーヒーを飲みながら言う。真冬はその言葉に驚き、自分の顔に触れた。

ルミのオススメのカフェで、二人はコーヒーとケーキを楽しんでいた。真冬は、ルーネベリタルトというかわいい形のケーキを食べている。少しスパイシーで、寒い時期にはぴったりのケーキだ。

「やっぱり、人は笑っていた方が素敵よ!真冬ったら寂しそうな顔ばかりだもの……」

ルミは少し困ったような笑みで言う。たしかに、真冬はあまり笑えない。仕事ではいつだって作り笑いだ。特に、彼がいなくなってからは……。

「私、ルミみたいに笑えないの……」

真冬はコーヒーを一口飲む。ほどよい苦味が口の中を満たす。
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