【短】センパイ、センパイ、センパイ。
これは、夢だろうか。
朝の出来事がショックすぎて、都合のいい妄想を見てるのではないだろうか。
そう勘違いしてもおかしくないくらい、真正面からひしひしと心臓を揺さぶられる。
泣きすぎたせいか、クラクラする。
もう、ことはセンパイしか、見えない。
「キミがここに入学したことも、キミが時々俺のことを見てることも、気づいてた」
「えっ!?」
き、気づかれてたの!?
動揺する私に、ことはセンパイはいたずらっ子みたいに片眉をあげる。
「でもキミは、気づいてなかっただろ?俺もキミのこと、目で追ってたこと。無意識にキミを探してたこと」
「え……?」
やっぱりな、と呟くことはセンパイに、さらに驚く。
私、さっきから「え」しか言ってない。
だってそれしか言葉にならないんだもん。
想像してなかった返事に、戸惑うばかり。
嬉しいとか、そんな単純な感情はとうに超越している。
「たぶん、俺のほうがキミのこと、好きだよ」