【短】センパイ、センパイ、センパイ。
胸の裏側の、指が届くか届かないかくらいのところが、なんだかむず痒くて。
かと思えば、きゅっと押しつぶされる。
にがあいコーヒーとあまったるいショートケーキを、一緒くたに食べちゃったみたいな。
……ちょっとうまく言えないけど、たぶん。
恋、なんだろうな。
なんの疑いもなく、自然と、落っこちた。
たった1分くらいのステージ。
他のバンドメンバーが心配して彼を無理やり下げさせなければ、もっと続いていた。
私にとって、あの1分は「たった」じゃなく「されど」で。
この高校に行きたい。
彼にまた、会いたい。
限りなく一方的で、不純な理由。
それでもいいの。
なんだっていいの。
雨の日が、好きになっちゃったから。