拾いものは危険な恋のはじまりでした
第一章 路地裏の出会い
「小春ちゃん、あがっていいわよ」
「は~い、お疲れ様でした」
私は、前島小春(マエジマ コハル)19歳、高校生の頃からここ小料理屋
「花かつみ」の洗い場で働かせてもらっている。
中学3年生だったある日、私は悩む頭を抱え公園のベンチに腰かけていた。
赤ちゃんの時に、孤児院の前に捨てられていたらしい私は、中学卒業と共
に施設を出て、働きながら定時制にでも通おうと考えていたのだが、なか
なか働く所と住む所が見つからなかった。
「どうしよう・・・」思わず声がもれた。
「可愛い女の子が、そんな顔をしてたら勿体ないわよ」
声のする方を向くと、着物姿の女の人
「なんか悩みがあるなら話してみなさい。聞いてあげるから」
普通、知らない人にそう言われて、“はいそうですか”と話せる訳がない
のだが、その人の柔らかい雰囲気にその時の私は、今の状況を話していた
うんうんと時折、相槌を打ちながら聞いていたその人は、私の話を聞き
終わると「そうだ、私に任せてくれる」と言って優しい笑みを私に向け
「1週間後、ここに来てくれる」と言って去って行った。
渡されたものは、小料理屋「花かつみ」と印刷されたカードだった。
「は~い、お疲れ様でした」
私は、前島小春(マエジマ コハル)19歳、高校生の頃からここ小料理屋
「花かつみ」の洗い場で働かせてもらっている。
中学3年生だったある日、私は悩む頭を抱え公園のベンチに腰かけていた。
赤ちゃんの時に、孤児院の前に捨てられていたらしい私は、中学卒業と共
に施設を出て、働きながら定時制にでも通おうと考えていたのだが、なか
なか働く所と住む所が見つからなかった。
「どうしよう・・・」思わず声がもれた。
「可愛い女の子が、そんな顔をしてたら勿体ないわよ」
声のする方を向くと、着物姿の女の人
「なんか悩みがあるなら話してみなさい。聞いてあげるから」
普通、知らない人にそう言われて、“はいそうですか”と話せる訳がない
のだが、その人の柔らかい雰囲気にその時の私は、今の状況を話していた
うんうんと時折、相槌を打ちながら聞いていたその人は、私の話を聞き
終わると「そうだ、私に任せてくれる」と言って優しい笑みを私に向け
「1週間後、ここに来てくれる」と言って去って行った。
渡されたものは、小料理屋「花かつみ」と印刷されたカードだった。
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