拾いものは危険な恋のはじまりでした
砂浜には、波が静かに打ち寄せては引き、また打ち寄せる

「今日は、とっても楽しく素敵な時間をありがとうございます。

こんな事は、私の人生で初めてです」

「そうか、じゃあ、これから小春の初めてを沢山増やしていこう」

「え・・・」

「これからも、時々こうしてあってくれるか?」

「私でいいんですか?」

「あぁ、小春だからいいんだ」

漆黒の双瞳がしっかりと私の目を見て言う。

そんな風に言われたら、勘違いしてしまいそうになる・・それでも・・

勘違いだとしても、奏さんと会いたいと思った。

「はい、いいですよ」

奏さんは、二っと口角をあげて、私の頭を撫でた

「寒くなってきたな、そろそろ車に戻ろう」「はい」

当たり前のように、奏さんの右手が私の左手を掴む、そのまま車まで手を

繋ぎ歩いた

部屋に戻ると、奏さんに貰った“イルカ”をベットの枕の隣に並べた

いい夢が見れますように・・・

それからは、毎日奏さんからメールか電話がくるようになった

そして、仕事が終わって部屋に着いてからの連絡は必ずするようにと約束

させられた。なんでも、夜遅いので心配らしい。

親みたいと思ったけど、私を心配してのことだから、素直に聞くことに

カフェに行ったり、ドライブに出掛けたり、1,2時間の短い時間だったりする

けど会ったりもしていた。

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