拾いものは危険な恋のはじまりでした
水族館についてからの小春は、子供の様に目をキラキラ輝かせ、とても

喜んでくれた。水族館は初めてだったらしい。

幻想的な光の中を歩く小春は儚げで、そのまま光の中に吸い込まれていき

そうな気がして、気が付くと手を握っていた。小春の手から伝わる暖かさが

俺の心も温めていく。

グッズ売り場に行くと、イルカのぬいぐるみが目に留まった。

小春の喜ぶ顔が見たくて、恥ずかしいのも構わず買った。

おそらく、俺の姿を見て護衛についてる奴らは、卒倒してるかもしれない

冷酷で非道な人間と言われ、俺自身もそう思っていた。

今まで女に何か買ってやることなんてなかった、ましてやぬいぐるみ

・・・似合わねェ・・・

戻ってきた小春にぬいぐるみを渡すと、笑顔で喜んでくれた

この笑顔をみれただけで、俺の心は満たされる

食事も雰囲気も良く、小春も喜んでくれた

食後、海を見に浜辺に降り、また会う約束をした

本当は、直ぐにでも俺の女にしたいが、俺の事を知ったら小春は離れて

行かないだろうか・・・俺の墨を見たんだ、何となくは気づいているだろう

だが、まだ、話せない、話したくない、一人の男“桐生奏”だけを

知って欲しい・・・今は、このまま・・・
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