拾いものは危険な恋のはじまりでした
「あの、大丈夫ですか?声、聞こえますか?」

男の人をゆすりながら声をかける 「大丈夫ですか?」「・・・あぁ・・」

やっと反応する男。

「救急車呼びますか?」「イヤ・・ダメダ・・・」

「はッ、何がダメなの、あなた熱が出てるみたいですよ、早く病院に行った

方が・・」

「・・要らない」

そう言って立とうとするが、フラフラとする。思わず、男を支えた

「私のアパートがすぐそこなので、とりあえず行きましょう」「・・・・。」

男の腕を肩に回し支えるようにして、どうにか歩く。

男はかなり身長が高いのか157cmの私がすっぽり隠れてしまいそうだ

程なくアパートが見えてきた。繁華街のはずれにある2階建ての古いアパート。

201号室のワンルームが私の部屋。

ドアを開け、男を中に入れる。

部屋の明かりをつけ、床に男をおろす

「水を持ってくるので、ちょっと待っててください」

冷蔵庫からミネラルウォーターをだし、コップに注いで男に渡した

男はゆっくりと手を伸ばしコップを受け取ると、一気に水を喉に流し込む

さっきまで分からなかったが、明かりの中で見る男はかなり整った顔をし

ていた。漆黒の髪と瞳、短髪でサイドをツーブロックにしワックスで後ろ

に流している。切れ長の目に薄い唇。
< 4 / 93 >

この作品をシェア

pagetop