拾いものは危険な恋のはじまりでした
心地よい暖かさに包まれ目が覚める。

目の前には、穏やかな表情で瞼を閉じている愛しい人の顔

こんなに幸せな気持ちで目覚める日が来るとは思ってもみなかった

昨日の夜、奏さんと一つになった

きっと、ベットで二人の身体が密着するまでは、お互いこうなるとは

思っていなかったと思う。

私は一人部屋にいる心細さに奏さんに縋り、奏さんもそんな私を一人

にしたくなかった。今までの奏さんを思うと、まだ男女の経験の無い

私を思い、大事にしてくれているのは十分私にも伝わっていた。

だが、体が密着し私に触れたときに見えた、情欲に溢れた野性味を帯びた

眼差しを垣間見た時、私の心も奏さんの全てを欲した。

お互いに心の通じ合った二人が触れ合えば、それは必然だったと思う。

体に残る気怠さと、下腹部の違和感が二人の思いの深さを証明している

ようにも感じた。そして、それは幸せに満ちた愛情の形だ。

「目が覚めたのか・・・」「はい・・」

「体は大丈夫か」「・・・はい」

奏さんは優しく微笑み、私は恥ずかしさで俯いた。すると、私に優しい

キスを落としながら「愛してる」と呟いた。

支度をするのに起き上がる奏さんの大きな背中に、いつか見た漆黒の龍が

見えた。


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