拾いものは危険な恋のはじまりでした
それから1週間、徹さんの送迎は続いている。

奏さんも忙しい中、時々部屋に泊まってくれていた。

怖いくらいにいつもと変わらない日が過ぎていく。

あの手紙は悪戯だったのではないかと思えてきていた。

奏さんの方でも調べてはいるようだが、まだ分からないらしい。

今日も「花かつみ」の仕事が終わった、いつものように徹さんに

送ってもらう。アパートに着き郵便受けを見るが水色の封筒は無い

部屋の前で別れ、一人部屋に入る。明かりをつけ、コートを脱ぎ

リビングでほっと息を吐いた。

するとインターホンが鳴る、えっと思いながらドアの前にいくと、

少しくぐもった声で徹さんが

「小春ちゃん、渡し忘れた物があるんだけど、いいかな」と言う

「あ、はい、今開けますね」

ドアを開けると“ドン!” 私を押しのけ部屋の中に入ってくる

「え、なに・・」

床に尻もちをついたままよく見ると、徹さん・・・じゃない・・

「小春、僕がいるのに、他の男と一緒にいるなんてお仕置きだよね」

「あ、あなたは・・・あの時の、鞄の人・・?なんで・・」

「小春は僕のものだろ、何いってるの?」「・・・・」

怖い・・言い方は優しいのに・・・心臓が締め付けられるような苦しさ

を感じる・・・
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