拾いものは危険な恋のはじまりでした
第八章 同じ屋根の下で
アパートで荷物の整理をする。

家具類の大物は、マンションにあるということで洋服や身の回りの物

だけ、元々あまり物がないのでダンボール3箱に収まった引っ越し整理は

2時間程で終わりとなった。

「この子は忘れないようにしないとね」

奏さんから初めて貰ったイルカは私の宝物だ

部屋の解約と残りの処理は奏さんの方でやってくれるらしい

「帰るぞ」

奏さんの言葉に、あー、私の帰る場所はここではなくあのマンション

なのだと、改めて実感したのだった


改めてこれから住むマンションを見た。高層でセレブマンションと言われ

るものなのだろう。地下駐車場からエレベーターで向かう、カードキーを

かざすと動き出した。

「部屋に着いたら渡すが、このカードキーをかざすと、部屋の階につく」

36F エレベーターを降りる、この階には奏さんの部屋だけらしい。

「部屋には、指紋認証とカードキーの両方で入れる」

奏さんの部屋はメゾネットタイプ。部屋に入ると30帖のリビング、キッチン

ダイニングが広がる、正面に大きな窓があり周り全体を見渡せる。

階段を上ると、ベットルーム、書斎、バスルーム、広いウォークイン

クローゼット、モノトーンで統一された奏さんらしい部屋だった

クローゼットを見ると、女物の服が掛けてあった。

「そこが、小春の服の場所。その服も俺が勝手に買ったやつだから、

良かったら着てくれ」

「私の・・・ありがとうございます!」
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