拾いものは危険な恋のはじまりでした
それは、4月に入り私の20歳の誕生日という日だった。

「小春、今日は迎えに行くから、待ってろよ」

「はい、楽しみにしてますね」

「あぁ、行ってくる。チュッ」「行ってらっしゃい///」


“もしかして、誕生日のお祝いしてくれるのかな・・”

ワクワクする気持ちを抑えつつ、今日の服を選ぶ。

いろいろ悩んだが、結局奏さんがクローゼットに用意してくれていた

白のニットワンピースにした。それを着て、少しオシャレをして仕事

に向かった。

23:00 仕事が終わった。ロッカーに行くと奏さんから電話

「外に徹がいるから、一緒に車まで来い」「はい!」

外に出ると、徹さんがいて「こちらです」と前を歩き、後をついていった

大通りの脇に止めてある黒い高級外車の周りには、遠巻きに中を伺う人達が

大勢いた。中には、「桐生さんじゃない」「若様!」「司さんもいる!」

など女の人達の嬌声が聞こえてくる。

さっきまで、ウキウキしていた気持ちが、自分が場違いな気がして一気に

沈んでいくのを感じ俯いた。

「小春」

すると車から奏さんが降り、私を呼んだ

「何あの女!」「ブスじゃない!」の罵声が聞こえる

「小春、来い!」

もう一度奏さんの低いけどよくとおる声が私を呼ぶ。

徹さんに促され、情けない気持ちのまま進むとフワッと甘いムスクの香りに

包まれた。思わず俯いていた顔を上げると、優しく微笑む顔

「俺の女はお前だけだ、誰に何を言われても気にするな」

「・・・・はい」

そのまま車の後部座席に促され、奏さんと並んで座った。

運転席に座った徹さんが「出します」というと、車はざわめくその場を離れた



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