赤傘
二時間弱くらい、あの頃のように歌った。
ひたすら懐かしい歌を。
俺や晃が歌う歌は、大体互いが知っていた。
しかしたまに数曲、俺が知らない歌を彼は歌った。
「最近好きなんだ。友達に勧められてね」
「友達、か……」
男か女か、恋人かもしれねぇな。
俺には関係ない話のはずなのに。
何故だか胸の中を不快な気分が過ぎった。
それを抱えながらも、俺ははにかんだ顔で画面を見つめて歌う晃を横顔を眺めていた。
……唐突に。綺麗だな、と思った。
なにがだと聞かれると困るが。
瞬間、心臓を鷲掴みにされるような苦しさを感じた。
「!?」
思わず服の上から掻き毟る。
……なんだろう。不整脈か?
訝しみつつ、再び晃に視線を戻す。
長い睫毛、切れ長の目。
形のよい小さな鼻は筋が通り、口はほんの少し大きめで唇は薄い。
……さっき綺麗だと思ったのはこれらしい。
ひたすら懐かしい歌を。
俺や晃が歌う歌は、大体互いが知っていた。
しかしたまに数曲、俺が知らない歌を彼は歌った。
「最近好きなんだ。友達に勧められてね」
「友達、か……」
男か女か、恋人かもしれねぇな。
俺には関係ない話のはずなのに。
何故だか胸の中を不快な気分が過ぎった。
それを抱えながらも、俺ははにかんだ顔で画面を見つめて歌う晃を横顔を眺めていた。
……唐突に。綺麗だな、と思った。
なにがだと聞かれると困るが。
瞬間、心臓を鷲掴みにされるような苦しさを感じた。
「!?」
思わず服の上から掻き毟る。
……なんだろう。不整脈か?
訝しみつつ、再び晃に視線を戻す。
長い睫毛、切れ長の目。
形のよい小さな鼻は筋が通り、口はほんの少し大きめで唇は薄い。
……さっき綺麗だと思ったのはこれらしい。