転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
「……へぇ、それは面白そうだ。米から作った酒はうまいと父上が言っていたが。おい、タケルとやら、その酒は手に入らないのか?」

「――俺に聞くな。だいたい、ミナホ国と国交を開くのは反対なんだろうし、お前には分けたくない」

「ヤエコ様が帰ってきたら、私からお願いしてみましょうか? おいしいって皇帝陛下もおっしゃってました」

 たぶん、今でもタイシンに頼めば分けてもらえると思う。だが、タケルが嫌がっているので、ヤエコの帰りを待つ方がいいだろうと思った。

「本当か? それなら、頼む」

「なんで、こんなやつに貴重な酒を渡すんだよ!」

 タケルが、むっとした表情になるが、ヴィオラは何食わぬ顔で、付け合わせの野菜にフォークを刺した。

「セドリック殿下がお酒を気に入ったら、国交を開くのに賛成してくれるかもしれませんよ?」

「そうだな、うまかったら賛成してもいいな。国交を正式に開けばたくさん輸入できるかもしれないしな」

 なんて、セドリックは笑う。本気で酒につられるつもりはないだろうが、ヴィオラの言葉を面白くは感じてくれているらしい。

 話題を変えてからは、場の雰囲気はそれなりによくなった。タケルが立ち上がることもなく、デザートまで無事に終了する。

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