転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
ほっとしながら周囲を見渡すと、食事を終えた人達が思い思いに散っていくところだった。

 これからあとは、満月宮の中にある談話室で会話するもよし、それぞれの宮にもう少し話をしたいと思った相手を招くもよし、だ。

(……どうしようかな)

 普段ならそろそろ寝ようかという時間なので、少しばかり眠い。

 だが、せっかくセドリックと話をする機会があったのだ。もう少し、彼がどんな人なのかを見定めておきたいような気もする。

「セドリック、先ほどは何があった?」

 どうしようかと思いながら席についたままでいると、リヒャルトがこちらにやってきた。先ほどタケルが立ち上がりかけたのは、リヒャルトの席からも見えていたのだろう。

 皇帝が退室を命じる前に、二人とも座ったけれど、ずっと気にしてくれていたみたいだ。

「俺は、ミナホ国との国交を開くのは反対だという話をしていた」

「父上がお決めになったことだぞ」

「それでも、だ――そう言ったら、喧嘩になりかけてね」

 一瞬、リヒャルトとセドリックの間にも剣呑な空気が漂う。だが、それを破ったのはセドリックの方だった。

「だが、そこのヴィオラ姫になだめられたよ。食事の時には、楽しい話をするのがマナーだそうだ」

 いきなりこちらに話をふられて、ヴィオラは慌てた。

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