転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
 たしかにあの場に割って入ったのは事実だけれど、騒ぎになったら周囲の人達に迷惑をかけてしまう。ヴィオラにできるのは、話題を変えることくらいだった。

「そいつが悪いんだ。俺達が、この国から援助を引き出そうとしているなんて言うから」

「間違いではないだろ?」

「援助なんか必要ない! 俺達が求めているのは、対等な関係を結ぶことだ」

 セドリックの挑発に、簡単に乗ってしまったタケルテーブルに手を叩きつけて立ち上がる。

(そう言えばセドリック様って……つい、この間まで、皇子達の中では一番の有望株だったんだもんね。タケル様がいいようにあしらわれるのもしかたないのかも)

 なんて、二人の様子を見ながらヴィオラは考えた。

 リヒャルトが表舞台に出るのを自重していた間、セドリックが皇子達の中心人物として目されていた。

 まだ十五になったばかりのタケルとは、踏んできた場数が違うだろう。

 なんて、ヴィオラが考えを巡らせている横で、セドリックはわざとらしく深いため息をついてみせた。

「――内乱が続いて、国力がだいぶ失われているんだろう。それに、現国王の権力も安定しているとはいいがたい状況だそうじゃないか」

「え? そうなの?」

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