転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
 初めて聞くことだったから、自分が部外者の立場であるのも忘れたヴィオラはつい口走る。そんなヴィオラに向けて、セドリックは気の毒そうな目を向けた。

「だから、どうあっても我が国との縁を繋いでおきたいんだろう。お前のような小国の王女と王族との縁談を急いでとりまとめようとするのもそのためだ――なにしろ、皇妃の一番のお気に入りだからな」

 もし、今セドリックの言ったことが本当だったとしたら――。

 強引にヴィオラを欲しがる理由が、もうひとつ思い当る。

 ヴィオラの力――そんなものはまったく持ち合わせていないけれど――を目当てとして、タケルと娶わせようとしているんじゃないだろうか。

 ヤエコの知る"稀人"というのは、どうやら素晴らしい知識や技術力を持っている人のことをさすらしい。デンジロウという人間が、ヴィオラの推測通りの人物ならば、それも納得だ。

(内乱を治めるのに、私の力を借りたいとか言われても困るけど……)

 じっとタケルを見てしまう。彼はヴィオラを『守る』と言っていたけれど、守ってもらう必要なんてないのだ。

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