転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
「でもまあ、俺の聞いている話が違うというのなら、それでいいんだ。それよりヴィオラ」

「は、はい?」

 セドリックに名を呼ばれ、ヴィオラは文字通り飛び上がった。

「今度、俺の宮にも来てもらえるか? 母上が話をしたがっている。俺もお前が気に入った。あの場で仔牛のパイ包みの話ができるなんて、意外と度胸あるんだな」

(……そういうつもりじゃなかったんだけど)

 ただ、あの場の空気をどうにか変えたかっただけなのだが、セドリックには違ったように受け取られたようだ。

 セドリックは「それでは」と言い残し、自分の宮へと戻っていく。リヒャルトはタケルの方を振り返った。

「タケル、ヴィオラ、少し――時間を取れないか」

 リヒャルトの誘いに、タケルは黙ってうなずき、もとよりヴィオラは断るつもりなんてなかったので二人に黙ってついていった。
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