転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
◇ ◇ ◇
ジャニス妃の宮には、バローという星の名が与えられている。
セドリックの頼みを受け、ヴィオラはバロー宮を訪れていた。なぜか、お目付け役としてリヒャルトがついてきている。
どこの宮にも一室はサンルームが設けられているようで、ジャニス妃もそこにヴィオラとリヒャルトを招き入れてくれた。
「皇太子殿下、ヴィオラ様、ようこそいらっしゃいました」
驚くべきことに、ラファエラ妃もこの場に居合わせて、四人での会談となる。
(なんだか、変な感じ……)
ジャニス妃もラファエラ妃も息子はいる。二人の息子達は皇子としてきちんと扱われてはいるけれど、皇太子となれるのは一人のみ。
以前のリヒャルトは弱かったから、彼女達にとってリヒャルトは警戒すべき敵ではなかったと思うが、今は違う。
積極的に皇太子としての務めを果たそうとし始めているリヒャルトの姿は、二人の妃の目にはどう映っているのだろう。今日、この場でそれを探り出せればいいのだが。
「近頃、わが宮でも殿下のうわさでもちきりですのよ。そちらのお姫様と婚約なさるとか」
こうして見ると、セドリックはやはり母親似だ。微笑んだジャニス妃と、晩餐会の席で顔を合わせたセドリックはとてもよく似ていた。