転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
「――母がそう希望しているので」
低い声で返すリヒャルトは、心のうちを見せるような真似はしない。どことなく張りつめた空気も感じられて、初めて会った頃のことを思い出した。
「ヴィオラ姫が成人する頃には、お似合いのお二人になると思いますわ」
扇の陰でラファエラ妃が笑ったように見えた。
今はまったく釣り合っていないと言いたいのだ。たしかにヴィオラもそう思うが、あてこすられたら気分が悪い。
(意地が悪い!)
むっとしたが、リヒャルトが平然としているのでヴィオラも自分の気持ちを見せないように、口角を上げて笑みを作る。
「あのぅ、ジャニス妃殿下は、ミナホ国との国交を開くことに反対なんですよね?」
「あら、耳ざといのですね……母国にとっては、歓迎できないことだと考えております。でも、陛下のお決めになったことですもの」
無邪気さを装って正面からぶつけたヴィオラの問いに、ジャニス妃はすんなりと返してきた。隣にいるラファエラ妃もまた、彼女の言葉にうなずいている。
「そうそう、ヴィオラ姫のお気にいりのお菓子について教えてくださる? 珍しいお菓子をよくご存じだと、セドリックから聞きましたのよ」
そう言って笑う彼女は、敵意は持っていないように見えた。味方でもなさそうだけれど。
低い声で返すリヒャルトは、心のうちを見せるような真似はしない。どことなく張りつめた空気も感じられて、初めて会った頃のことを思い出した。
「ヴィオラ姫が成人する頃には、お似合いのお二人になると思いますわ」
扇の陰でラファエラ妃が笑ったように見えた。
今はまったく釣り合っていないと言いたいのだ。たしかにヴィオラもそう思うが、あてこすられたら気分が悪い。
(意地が悪い!)
むっとしたが、リヒャルトが平然としているのでヴィオラも自分の気持ちを見せないように、口角を上げて笑みを作る。
「あのぅ、ジャニス妃殿下は、ミナホ国との国交を開くことに反対なんですよね?」
「あら、耳ざといのですね……母国にとっては、歓迎できないことだと考えております。でも、陛下のお決めになったことですもの」
無邪気さを装って正面からぶつけたヴィオラの問いに、ジャニス妃はすんなりと返してきた。隣にいるラファエラ妃もまた、彼女の言葉にうなずいている。
「そうそう、ヴィオラ姫のお気にいりのお菓子について教えてくださる? 珍しいお菓子をよくご存じだと、セドリックから聞きましたのよ」
そう言って笑う彼女は、敵意は持っていないように見えた。味方でもなさそうだけれど。