転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ～次期皇帝と婚約なんて聞いてません！～
　こうして、人の体温を身近に感じることがどれだけ安心させてくれることか。ニイファによりかかったまま、ヴィオラはもそもそと口にした。

「あのね、縁談のことなんだけど……」

「タケル様、でございますか？」

「うん。なんだか、すごく勘違いされているみたいで」

「そのようですね。タイシン様もそのようにおっしゃってました」

　急にタイシンの名前が出てきて、ヴィオラはがばりと跳ね起きた。ニイファは、タイシンといつ話をしたのだろう。

「タケル様は、ヴィオラ様を守らなければならないという……騎士道精神をお持ちの方ですわね」

　頬に手を当てて、うふふと微笑むニイファは、タケルのことを好ましく思っているようだ。ヴィオラももちろん友人としては好ましいと思っているが、騎士道精神を持ち出されても困る。

「だから、それが誤解なのよ。私、ちゃんと守ってもらってるもの」

「あら、ヴィオラ様が守ってもらえているかどうかというのは、タケル様からしたら、大きな問題ではありませんわ。タケル様が、ご自身で守るということに意味があるんですもの」

「……は？」

「つまり、ヴィオラ様に『個人的に好意をお持ちになっている』ということです」

　ニイファはころころと笑っているけれど、ヴィオラはあんぐりと口を開けてしまった。その発想はなかった。

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