転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
「さすがに皇太子妃にはしてやれないがな。五妃くらいにはしてやれるだろう」
続く皇帝の言葉に、ヴィオラはぐっと手を握りしめる。正直、今の皇帝の言葉は胸に刺さった。
本気でリヒャルトの妃になれると思ったわけでもないが、現実問題として五妃と言われると、胸がずしりと重くなる。
「でも、陛下」
こわごわと口にする。ヴィオラは、汗ばんだ両手をスカートで拭いた。
「皇妃様は、私がミナホ王国に行かなくてすむようにしてくださっただけだと思うんです。私が大人になった時、嫌だったら、なかったことにしてもいいって。私を――守ろうとしてくださっただけで――だから、その」
もう一度汗ばんだ手をスカートにこすりつけながら、うろうろと視線をさ迷わせる。
「わかっている」
こちらを見る皇帝の目が、ほんの少しだけ柔らかくなったような気がした。
いつも険しい顔をしている人だから、ヴィオラは驚く。
「イローウェン王国内のことにまでは、口をはさめないがな。お前が本当に嫌だと思うのならリヒャルトと結婚する必要はない。理由はいくらでも作れるだろう」
「……はい、ありがとうございます」
他に何も言えない。これ以上は、言えなかった。
皇帝から感じる無言の圧力と言えばいいのだろうか。さすが、大陸一の大国を統べるだけのことはある。
続く皇帝の言葉に、ヴィオラはぐっと手を握りしめる。正直、今の皇帝の言葉は胸に刺さった。
本気でリヒャルトの妃になれると思ったわけでもないが、現実問題として五妃と言われると、胸がずしりと重くなる。
「でも、陛下」
こわごわと口にする。ヴィオラは、汗ばんだ両手をスカートで拭いた。
「皇妃様は、私がミナホ王国に行かなくてすむようにしてくださっただけだと思うんです。私が大人になった時、嫌だったら、なかったことにしてもいいって。私を――守ろうとしてくださっただけで――だから、その」
もう一度汗ばんだ手をスカートにこすりつけながら、うろうろと視線をさ迷わせる。
「わかっている」
こちらを見る皇帝の目が、ほんの少しだけ柔らかくなったような気がした。
いつも険しい顔をしている人だから、ヴィオラは驚く。
「イローウェン王国内のことにまでは、口をはさめないがな。お前が本当に嫌だと思うのならリヒャルトと結婚する必要はない。理由はいくらでも作れるだろう」
「……はい、ありがとうございます」
他に何も言えない。これ以上は、言えなかった。
皇帝から感じる無言の圧力と言えばいいのだろうか。さすが、大陸一の大国を統べるだけのことはある。