転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
以前と比較すれば改善傾向がみられるけれど、どうも今の皇妃にとって皇帝は、「いても邪魔にはならない」程度の相手でしかないらしい。
皇帝の訪れをひたすら待ち続けた頃とは、意識が変わったのだと思う。
「わ、私にはわからないのですけれども……皇妃様は、楽しくお話をするのが好きです。おいしいお茶を飲んだり、おいしいものを食べながら……」
結局、そう返すことしかできなかった。
「――そうか。感謝する。あれは、宝石もドレスもほしがらないからな。近いうちに茶の時間を設けることにしよう」
皇帝に礼を言われる機会なんて、そうそうないだろう。皇妃との時間を取るというのなら、皇妃の好きなものを一緒に食べたほうがいい。
「あの、陛下。皇妃様は、ミナホ国のお菓子では、どら焼きが一番お好きです。そ、それから……ええと……フィナンシェはかわった味ではなく、プレーンな味のものがお好きみたいです。城下町の"クィアトール"というお店のチョコレートも、最近お気に入りです」
皇帝が皇妃との時間を持ちたいというのならば、好きなものがテーブルに置かれていた方が皇妃としては嬉しいだろう。
そう思っての提案だったけれど、皇帝は思っていたより喜んでくれた。
「"クィアトール"とは、ヴィオラの住んでいた宮と同じ星の名だな。すぐに取り寄せることにしよう」
(余計なことをしてしまったかしら……)
と考えながらも、ヴィオラは一礼して、皇帝の前を立ち去った。
皇帝の訪れをひたすら待ち続けた頃とは、意識が変わったのだと思う。
「わ、私にはわからないのですけれども……皇妃様は、楽しくお話をするのが好きです。おいしいお茶を飲んだり、おいしいものを食べながら……」
結局、そう返すことしかできなかった。
「――そうか。感謝する。あれは、宝石もドレスもほしがらないからな。近いうちに茶の時間を設けることにしよう」
皇帝に礼を言われる機会なんて、そうそうないだろう。皇妃との時間を取るというのなら、皇妃の好きなものを一緒に食べたほうがいい。
「あの、陛下。皇妃様は、ミナホ国のお菓子では、どら焼きが一番お好きです。そ、それから……ええと……フィナンシェはかわった味ではなく、プレーンな味のものがお好きみたいです。城下町の"クィアトール"というお店のチョコレートも、最近お気に入りです」
皇帝が皇妃との時間を持ちたいというのならば、好きなものがテーブルに置かれていた方が皇妃としては嬉しいだろう。
そう思っての提案だったけれど、皇帝は思っていたより喜んでくれた。
「"クィアトール"とは、ヴィオラの住んでいた宮と同じ星の名だな。すぐに取り寄せることにしよう」
(余計なことをしてしまったかしら……)
と考えながらも、ヴィオラは一礼して、皇帝の前を立ち去った。