転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
「――お前か!」
不意に大きな声がして、ヴィオラはそちらを振り返った。
「まてぇ!」
こちらに向かって駆け出してくるのは、ミナホ国の人ではなさそうだ。こちらの大陸の者だろう。灰色の地味な衣服に身を包んでいる。
そして、大声を出しながら男のあとを追いかけてくるのはタケルだった。さらにタイシンがタケルと並ぶようにしてこちらにやってくる。
「――リヒャルト、逃がすな!」
タケルの声にかまわず、追われている男は、リヒャルトの側を通り抜けようとする。
リヒャルトは、片方の腕でヴィオラを自分の背後に回した。
そして、男に道をあけるように一歩後退する。男はそれを好機と見たらしく、一気に駆け抜けようとした。
だが、次の瞬間、リヒャルトは腕を払った。勢いあまった男がよろめく。
「ヴィオラ、下がれ!」
「は、はい!」
鋭い声。
迷うことなくヴィオラはさらに後退した。心臓が大きく跳ねる。
(リヒャルト様が強いのは知ってる――けれど)
誰かをかばいながら戦うのは、とても大変だと聞いたことがある。だから、リヒャルトの邪魔にならないよう、視線はリヒャルトから外さないまま、その場から遠くまで離れた。
体勢を立て直した男が走り去ろうとする方向に、リヒャルトが立ちふさがる。いつの間にかリヒャルトは剣を抜いていた。
不意に大きな声がして、ヴィオラはそちらを振り返った。
「まてぇ!」
こちらに向かって駆け出してくるのは、ミナホ国の人ではなさそうだ。こちらの大陸の者だろう。灰色の地味な衣服に身を包んでいる。
そして、大声を出しながら男のあとを追いかけてくるのはタケルだった。さらにタイシンがタケルと並ぶようにしてこちらにやってくる。
「――リヒャルト、逃がすな!」
タケルの声にかまわず、追われている男は、リヒャルトの側を通り抜けようとする。
リヒャルトは、片方の腕でヴィオラを自分の背後に回した。
そして、男に道をあけるように一歩後退する。男はそれを好機と見たらしく、一気に駆け抜けようとした。
だが、次の瞬間、リヒャルトは腕を払った。勢いあまった男がよろめく。
「ヴィオラ、下がれ!」
「は、はい!」
鋭い声。
迷うことなくヴィオラはさらに後退した。心臓が大きく跳ねる。
(リヒャルト様が強いのは知ってる――けれど)
誰かをかばいながら戦うのは、とても大変だと聞いたことがある。だから、リヒャルトの邪魔にならないよう、視線はリヒャルトから外さないまま、その場から遠くまで離れた。
体勢を立て直した男が走り去ろうとする方向に、リヒャルトが立ちふさがる。いつの間にかリヒャルトは剣を抜いていた。