転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
 内心、ヴィオラもタケルの言い分には少しだけ同意してしまった。

 セドリックは、タケルをはじめ海の向こうからはるばるやってきたミナホ国の人達を下に見る傾向にあるようだ。

「そうは言うが、こういったものは身分証としても使える。そうではないか? これを持っていれば、皇宮にいるセドリック皇子にたやすく会うことができるのではないか?」

 タイシンの声はとても冷静なもので、頭に血がのぼってじたばたしているタケルとはまるで違う。

 タケルには優秀な師匠であるタイシンが必要不可欠であろうこともヴィオラにはわかった。

「タイシンの言うこともわかるが――ワナム王家の印では皇宮に出入りはできないぞ。セドリックの手の者というのであれば、別の印を使うだろう」

 ワナム王家の紋章が出てきた以上、もちろんジャニス妃にもセドリックにも――それから、彼の弟妹にも話を聞く必要が出てくるが、この場では結論を出すことなどできない。

 ひとまず戻って、皇帝の判断を仰ぐことになったのだった。
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