転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
「そこで、だ。ミナホ国の者が、必要以上に皇帝陛下に近づかないように、手を貸してはもらえないだろうか」

「ラファエラ妃殿下。皇帝陛下は、ミナホ国との国交に関しては、リヒャルト皇太子殿下にお任せするとのことです。ですから、陛下に近づかないようにしても意味がないのではないでしょうか」

「そのくらいわかっている。だが、皇太子の思いがどうであれ、肝心なのは、陛下のお気持ちだ。陛下がミナホ国の者に必要以上に思い入れを持つのは困る」

 ヴィオラにこんなことを依頼してくるというのは、どういう理由からなのだろう。ヴィオラが今、安定した地位にいるのは皇妃の庇護下にあるからなのに。

「もし、そうしてくれるのなら我が国からも便宜をはかってやろう。皇妃と私、二人の庇護をうけるというのはそなたにとっては得難い幸運なのでは? 皇妃にはたいした後ろ盾もないが、私の後ろにはティレン国がある」

 ラファエラ妃の言うことも間違ってはいない。

 皇妃が皇妃としての地位についていられるのは、皇帝の意思があるからだ。皇妃の母国はもう滅んでいて、生き残った親族も他の国で暮らしている。

 それは長年の間、皇妃が冷遇される理由であったけれど――だからと言って、いまさらそんな話を振られても困る。
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