転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
"稀人"ではないけれど
 ヴィオラがタケルをクィアトール宮に呼び出したのは、その翌日のことだった。リヒャルトには、戻ったその日のうちに話をしてある。

 わざわざクィアトール宮を使ったのは、ここならばタイシンが入ってこられないこと、その他のミナホ国人達も入ってこられないことが理由だった。

 満月宮は新月宮に近い分、タイシンが出入りしていても不自然ではないし、念には念を入れて場所を選んだのだ。

 ヴィオラが話の場に選んだのは、クィアトール宮に住んでいる間、ヴィオラが私室として使っていた部屋だった。

 個人的な持ち物はすべて満月宮に移動させたが、家具はすべてここに残されている。話をする程度なら問題なかった。

「リヒャルトもいるなんて、聞いてねーし!」

 部屋に入ってくるなり、タケルが吠えた。

「というか、ヴィオラが『二人でお話しましょ』なんて言うから、先生を置いてきたのに!」

 タケルはじたばたと足を踏み鳴らすが、そんなことを言われても困る。一緒に来てくれたリヒャルトも、タケルの扱いに困っているようだ。

「だって、普通に誘ったら、タイシンもついてくるでしょ? タケル様の護衛だもの」

 と、首をかしげて上目遣いにタケルを見る。

 ヴィオラは小さいので、どうしたって上目遣いになってしまうわけではあるが、タケルはあたふたした様子で視線をそらした。

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