転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ～次期皇帝と婚約なんて聞いてません！～

「だが、それだけではタイシンがラファエラ妃に接近する理由にはならないだろう……」

　過去の事情がどうであれ、タイシンは息子をまかされるほどヤエコに信頼されている側近だ。ヤエコの考えを無視して動き回るというのも考えにくい。

「皇妃様とヤエコ様が顔を合わせることがあったら教えてほしいって言われたんだけど、それも関係あるのかしら」

「なんでだろうな」

　考え込むけれど、その理由はわからない。ラファエラ妃は、あれでヴィオラを完全に抱き込んだと思っているんだろうか。

「タイシンとヤエコ殿は別々に行動することもあるのか？」

「母上は強いからな。護衛なしでふらふらしていることもないとは言えない」

　強いと言ったところで、タケルはぶるりと身を震わせる。おびえた表情になったので、ヴィオラは首を傾げた。

「強いって？」

「先生とやりあっても、母上が勝つと思う」

　まさか――と思ったけれど、タケルの様子を見ていると、あながち間違いでもないのかもしれない。

「ラファエラ妃の誘いに乗ってみようか」

　そう口を開いたのは、リヒャルトだった。裏にどんな事情があるのかわからないとなると、相手の出方を待つしかなさそうだ。