転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
◇ ◇ ◇
「今回は、我が国の者が迷惑をかけたことを申し訳なく思う」
皇帝の前でヤエコが深々と頭を下げるのを、ヴィオラは複雑な気持ちで見守った。
隣にいるリヒャルトの顔を見上げれば、彼もまた唇を引き結んでいて、難しい顔をしている。
彼の名前を呼ぼうと思ったけれど、それも気が引けて、そっと彼の手をとった。
はたから見ていたら、皇帝の険悪な目つきに怯えたヴィオラが、リヒャルトの手に縋りついているように見えたかもしれない。
「――なに、どこの国でも意見の相違というものは生まれるものだ。今回の件、ヤエコ殿個人の思惑とは関係のない動きをする者が現れても不思議ではなかっただろう」
本当に、そう思っているのだろうか。皇帝が何を考えているのか、ヴィオラははかりかねるので、口を閉じておく。
「今後は、このようなことがないように願う――さて、会食を始めるとしようか」
そう言って皇帝は乾杯の合図にグラスを掲げたけれど、ヴィオラはかちこちに固まっていた。何しろ、今日のメニューはすべてヴィオラの考案なのだ。
「ヴィオラ、説明を頼む」
「……前菜は、五種類、盛り合わせました」
皇帝の命令を受けて、立ち上がったヴィオラは料理の説明を始めた。
漆塗りのお重ではなく、銀の皿の上に小さな皿を載せ、そこに一種類ずつ前菜を盛り合わせてある。
「今回は、我が国の者が迷惑をかけたことを申し訳なく思う」
皇帝の前でヤエコが深々と頭を下げるのを、ヴィオラは複雑な気持ちで見守った。
隣にいるリヒャルトの顔を見上げれば、彼もまた唇を引き結んでいて、難しい顔をしている。
彼の名前を呼ぼうと思ったけれど、それも気が引けて、そっと彼の手をとった。
はたから見ていたら、皇帝の険悪な目つきに怯えたヴィオラが、リヒャルトの手に縋りついているように見えたかもしれない。
「――なに、どこの国でも意見の相違というものは生まれるものだ。今回の件、ヤエコ殿個人の思惑とは関係のない動きをする者が現れても不思議ではなかっただろう」
本当に、そう思っているのだろうか。皇帝が何を考えているのか、ヴィオラははかりかねるので、口を閉じておく。
「今後は、このようなことがないように願う――さて、会食を始めるとしようか」
そう言って皇帝は乾杯の合図にグラスを掲げたけれど、ヴィオラはかちこちに固まっていた。何しろ、今日のメニューはすべてヴィオラの考案なのだ。
「ヴィオラ、説明を頼む」
「……前菜は、五種類、盛り合わせました」
皇帝の命令を受けて、立ち上がったヴィオラは料理の説明を始めた。
漆塗りのお重ではなく、銀の皿の上に小さな皿を載せ、そこに一種類ずつ前菜を盛り合わせてある。