転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ～次期皇帝と婚約なんて聞いてません！～

　そうやって、できる限り両国の要素を取り入れて、今日のメニューを作り上げた。

「……今回の事件は残念だったが――国交を開きたいという願いは変わらない」

　ヤエコはきっぱりと言う。そして、皇帝もそれに同意した。

「そこでだ、頼みがあるのだが、タケルをこの国に留学させてはもらえないだろうか。夏には畜産に従事する者を連れて戻ってくるので、彼らもこの国で学ばせてほしい」

「留学するのはかまわないが、よいのか？」

「以前、セドリック皇子が言っていたのも間違いではない。王家の血を絶やすわけにはいかないからな。この大陸の国だけではなく、北の別の大陸や、我が国のさらに東にある島国にも、王家の者を送り込んでいる。タケルを避難させてもらえるとありがたい」

　ヤエコの言葉に偽りはないようにヴィオラには思えた。

　それを、どう判断するかは皇帝次第――ちらりと皇帝の方に目をやる。

「畜産に従事する者を連れてくるとは？」

「内乱の間に、チーズを作れる者がずいぶん減ってしまったのだ。牛は飼育しているのだが、昔ほど乳の出がよくないとも聞く。オストヴァルト帝国の優れた技術を取り入れたい。我が国からは、銀を提供するくらいのことしかできないのだが」