転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
「そなたの言いたいことはよくわかった。畜産に従事する者を連れてくるのはかまわない。銀はいらぬ。そのかわり――夏以降、我が国からも何人かそちらに送る。あの木造建築の技術や医療については、学ぶべきことが多そうだ」

 ヴィオラは知らなかったのだが、ミナホ人居住区が焼き払われた時、応急手当てにあたったミナホ人医師の手際のよさ、技術力の高さにオストヴァルト帝国の騎士達は驚いたらしい。

 それが帝国の医師達に伝わって噂となり、ミナホ国の医療を学びたいと言い出した若い医師がいるのだそうだ。

 夏までの間に、ミナホ国の言葉をある程度学べるように、ミナホ国語講座が開かれることなど、食事の場であるのに会話はヴィオラにとってどんどん難しい方へと進んでいく。

(大切なことであるのはわかってるんだけど――)

 今はまだ国交を開くべきではないというタイシンの判断とは逆の方向に進んではいるが、海をこえた両国が協力体制を作れるのであれば、それはそれでいいことなのではないだろうか。

 今日のメニューを決めるにあたり、なるべく両国の味を取り入れるように気を配ったヴィオラとしては、満足すべき結果だ。

 デザートを終えると、ヤエコとタケルは新月宮へと戻ることになる。

 ヤエコはタケルを先に戻らせ、見送るリヒャルトとヴィオラの方へと戻ってきた。

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