転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
「どうかしたか、ヤエコ殿」
「リヒャルト――どうか、ヴィオラを頼む」
ヤエコが頭を下げるものだから、ヴィオラはあたふたとしてしまった。ヴィオラが稀人ではないと、納得してくれたのではなかったのか。
稀人ではないから、保護する必要はないと伝えたつもりだったのに。
けれど、ヤエコはリヒャルトの前で深々と頭を垂れたままだった。ヤエコのその様子に、リヒャルトは静かな声で告げる。
「ヴィオラは、俺にとっても大切な存在だ。あなたに言われなくとも、しっかり守るつもりでいる」
リヒャルトと並んで立っていたヴィオラは、ぎゅっと彼の上着を掴んだ。
(そんな風に言うから……)
そんな風に言うから、気持ちが膨らんでしまうのだ。
もっとリヒャルトの側に行きたい。そんな分不相応の願いまで持ってしまう。
「ヴィオラは、我が国の初代国王の残した心を、ミナホ人でもないのに受け継いでいる。我が国にとっても――いつか、我が国に来てもらえたら、そう願っているよ」
「ヤエコ様……」
「ヴィオラの中には、我が始祖デンジロウの血が流れているのかもしれない。昔は、大陸とももっと頻繁に行き来していたというから」
ヤエコは、ヴィオラのいう『生まれ変わり』を、そのような言葉で自分を納得させたようだった。けれど、それはまったく根拠のないことではないのかもしれない。
(そうか。デンジロウさんは、昔は同胞を探していたんだもんね……)
遠い昔、この世界に紛れ込んだ人。
自分の持つありとあらゆる知恵や知識を惜しみなくこの世界の人達に分け与え、そして、迷い込んだ同胞の保護に力を尽くした。
「リヒャルト――どうか、ヴィオラを頼む」
ヤエコが頭を下げるものだから、ヴィオラはあたふたとしてしまった。ヴィオラが稀人ではないと、納得してくれたのではなかったのか。
稀人ではないから、保護する必要はないと伝えたつもりだったのに。
けれど、ヤエコはリヒャルトの前で深々と頭を垂れたままだった。ヤエコのその様子に、リヒャルトは静かな声で告げる。
「ヴィオラは、俺にとっても大切な存在だ。あなたに言われなくとも、しっかり守るつもりでいる」
リヒャルトと並んで立っていたヴィオラは、ぎゅっと彼の上着を掴んだ。
(そんな風に言うから……)
そんな風に言うから、気持ちが膨らんでしまうのだ。
もっとリヒャルトの側に行きたい。そんな分不相応の願いまで持ってしまう。
「ヴィオラは、我が国の初代国王の残した心を、ミナホ人でもないのに受け継いでいる。我が国にとっても――いつか、我が国に来てもらえたら、そう願っているよ」
「ヤエコ様……」
「ヴィオラの中には、我が始祖デンジロウの血が流れているのかもしれない。昔は、大陸とももっと頻繁に行き来していたというから」
ヤエコは、ヴィオラのいう『生まれ変わり』を、そのような言葉で自分を納得させたようだった。けれど、それはまったく根拠のないことではないのかもしれない。
(そうか。デンジロウさんは、昔は同胞を探していたんだもんね……)
遠い昔、この世界に紛れ込んだ人。
自分の持つありとあらゆる知恵や知識を惜しみなくこの世界の人達に分け与え、そして、迷い込んだ同胞の保護に力を尽くした。