転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
甘いものが苦手な癖に、ヴィオラが新作を用意すれば、必ず一度は口にしてくれる。
残しているのを見たことはないし、ヴィオラが用意したものに限っては食べてくれるから、きっと気に入ってくれているのだとは思う。
ひょっとしたら、ヴィオラに対する気遣いからかもしれないが、ヴィオラとしては気に入ってくれていると思いたい。
「紅茶の香りがいいわね。今度の晩餐会のデザートにしようかしら。抹茶味は苦手な人も多いだろうから、陛下とのお食事の時ならよさそうね」
皇妃は真っ先にアイスクリームを口にし、じっくりと味わっている。
こうして皇妃が味見した菓子は、皇宮を訪れた客人とのお茶の時間や食事会に出されることもある。新作の試食も兼ねているのだ。
ヴィオラが考案した料理や菓子が採用されることも多く、皇妃からお茶に誘われる度に何を用意しようか考えるのもヴィオラの楽しみのひとつだ。
ヴィオラは、パイにナイフを入れた。さっくりとしたパイ生地は、ほんのりとバターの香りがする。甘さ控えめの白あんと、こってりとしたマロンクリームのバランスもちょうどいい。
ふと見れば、リヒャルトもちょうどパイを口にしたところだった。
「……お口にあいました?」
こわごわと問いかければ、彼は無言でうなずいてくれる。
たぶん、リヒャルトにはパイの方は甘さが強すぎただろうけれど、それでも彼がうなずいてくれたのが嬉しい。
(いつまでも、こうして平和な時間が続けばいいのに)
そう願ったヴィオラは気づいていなかった。自分のその願いが、思っていたよりも早く打ち砕かれてしまうということに。
残しているのを見たことはないし、ヴィオラが用意したものに限っては食べてくれるから、きっと気に入ってくれているのだとは思う。
ひょっとしたら、ヴィオラに対する気遣いからかもしれないが、ヴィオラとしては気に入ってくれていると思いたい。
「紅茶の香りがいいわね。今度の晩餐会のデザートにしようかしら。抹茶味は苦手な人も多いだろうから、陛下とのお食事の時ならよさそうね」
皇妃は真っ先にアイスクリームを口にし、じっくりと味わっている。
こうして皇妃が味見した菓子は、皇宮を訪れた客人とのお茶の時間や食事会に出されることもある。新作の試食も兼ねているのだ。
ヴィオラが考案した料理や菓子が採用されることも多く、皇妃からお茶に誘われる度に何を用意しようか考えるのもヴィオラの楽しみのひとつだ。
ヴィオラは、パイにナイフを入れた。さっくりとしたパイ生地は、ほんのりとバターの香りがする。甘さ控えめの白あんと、こってりとしたマロンクリームのバランスもちょうどいい。
ふと見れば、リヒャルトもちょうどパイを口にしたところだった。
「……お口にあいました?」
こわごわと問いかければ、彼は無言でうなずいてくれる。
たぶん、リヒャルトにはパイの方は甘さが強すぎただろうけれど、それでも彼がうなずいてくれたのが嬉しい。
(いつまでも、こうして平和な時間が続けばいいのに)
そう願ったヴィオラは気づいていなかった。自分のその願いが、思っていたよりも早く打ち砕かれてしまうということに。