転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
 ヴィオラは年齢より小柄で華奢なので、下手に剣を持たない方がいいというのが皆の考えだった。ヴィオラも同意見だし、他に学ばなければいけないこともたくさんあるので、剣術まで時間を割けないというのも本音だ。

「つまらないな、こっちの剣と打ち合ってみたかったのに」

「タケル、余計なことばかり考えるんじゃないよ。今、お前がやらないといけないのは、剣術じゃないだろうが」

 またもやヤエコはタケルの頭をぴしゃりとやった。

「リヒャルトもそれなりに剣を使えるし、セドリック王子も練習相手にはなるのではないかしら?」

 それなりになんて皇妃は言うけれど、実のところリヒャルトはなかなか強いとヴィオラは思っている。

(きっと、リヒャルト様はもっと強くなるんだろうけど……)

 この国では、皇族といえども守られるだけではだめなのだそうだ。

皇帝も今はかなり太ってしまっているが、若い頃は騎士団と一緒になって訓練をしたという。

 ヴィオラは剣術の稽古はしていないが、時々騎士団の訓練を見学させてもらうことはある。

 今度行ったら、リヒャルトとタケルが剣を打ち合わせるのを見ることができるかもしれない。そう思ったら、次の見学が楽しみになってきた。

 
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