転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
「これは畳という。私達の国では、家に入ったら靴を脱ぎ、床に直接座るのだよ、陛下」
「新しい畳の匂いがしますね……!」
大興奮のヴィオラは鼻をくんくんとさせる。
ミナホ国から持ってきたのだろうか。敷かれている畳は青々としていて、まだ日に焼けてはいなかった。敷いたばかりの畳特有の青臭い香りがする。
「お前、この匂いを知っているのか?」
振り返ったタケルがヴィオラに問う。睨むような目で見られてヴィオラはたじろいだ。リヒャルトの後ろに隠れるようにして、もそもそと返す。
「ほ、本に書いてあったから……この香りがそうなのかな、って」
もちろん、本で読んだことなどあるはずもない。だが、前世の記憶が――なんて言えない。
うっかり前世の知識を口にしてしまった時は、本で読んだとか、母国にいた頃、王宮に出入りしていた商人に教えてもらったとごまかすのが常だった。
「ヴィオラは、いろいろなことをよく知っているんだ。俺が知っている中では、一番ミナホ国に詳しい人間だと思う」
リヒャルトが、ヴィオラをかばうように半歩前に出てくれる。
「まだ若いのにたいしたものだ、ヴィオラ姫は」
ヤエコが感心したような口調になった。
「新しい畳の匂いがしますね……!」
大興奮のヴィオラは鼻をくんくんとさせる。
ミナホ国から持ってきたのだろうか。敷かれている畳は青々としていて、まだ日に焼けてはいなかった。敷いたばかりの畳特有の青臭い香りがする。
「お前、この匂いを知っているのか?」
振り返ったタケルがヴィオラに問う。睨むような目で見られてヴィオラはたじろいだ。リヒャルトの後ろに隠れるようにして、もそもそと返す。
「ほ、本に書いてあったから……この香りがそうなのかな、って」
もちろん、本で読んだことなどあるはずもない。だが、前世の記憶が――なんて言えない。
うっかり前世の知識を口にしてしまった時は、本で読んだとか、母国にいた頃、王宮に出入りしていた商人に教えてもらったとごまかすのが常だった。
「ヴィオラは、いろいろなことをよく知っているんだ。俺が知っている中では、一番ミナホ国に詳しい人間だと思う」
リヒャルトが、ヴィオラをかばうように半歩前に出てくれる。
「まだ若いのにたいしたものだ、ヴィオラ姫は」
ヤエコが感心したような口調になった。