転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
 自分と同じ世界から来た人がいればいいと思っていたのに、いざこうなってみると恐怖心のようなもので身体が震えた。

 実際に会えるのならばともかく、五百年も前の人だ。もし、彼が生きていたら聞きたいことがたくさんあったけれど、もう死んだ人なのだとしたらそれは無理だ。

「――ヴィオラ。ひとつ聞かせてくれ」

「なんでしょう?」

「君の知り合いに稀人がいるのではないか?」

 問われて、首を横に振る。

「私は国にいた頃、王宮に出入りしていた商人にいろいろ教えてもらっただけです。ミナホ国とは取引していた……と思いますけど、普通の人であって神様の御使いとかではないと思います」

「……そうだな、稀人なんてそうそういるものでもないか。悪かった、妙な話をして」

 ヴィオラの説明で、ヤエコは納得してくれただろうか。それはわからなかったけれど、そろそろ話を打ち切った方がよさそうだ。

「いいえ、気にしていません。それより、素敵な髪飾り、ありがとうございます。大切にしますね」

「悪くはないだろう。私も、若い頃はそれなりにその髪飾りが似合ったんだぞ」

 そう言って、ヤエコは微笑む。

その笑みに、気になるものを覚えたけれど、何が引っかかっているのかヴィオラ自身にもわからないまま、皇宮に戻ることになった。



 ◇ ◇ ◇
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