転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
「身体にいいものがいっぱい入ってるんですって。あと、陛下は割とお気に召したみたいよ」

「――しかし、これだけの香辛料を集めるのはなぁ……けっこう骨だぞ」

 食費に制限があるわけではないから、常備していない香辛料も集めようと思えば集められる。だが、集める苦労を考えると、料理人達も少し考えてしまうようだ。

 そんな話をしている間に、二次発酵が終わる頃合いとなった。

「次は、大きな鍋に油を熱してほしいの。このパンを揚げるから」

大鍋に油を熱したヴィオラは、どんどんパンを入れていく。こんがりときつね色に揚がったところで、ニイファが取り出し、網の上に載せて油を切った。

「もうちょっとさめたら食べられると思うの。そうしたら、皇妃様とヤエコ様のところに届けるわ」

 今日、ヤエコは"友人"として皇妃のところを訪れているそうだ。

 男性のような立ち居振る舞いをしているけれど、それほど怖い人ではないとヴィオラは思っている。

最終的に十二個のカレーパンが揚がり、十個は、皇妃とヤエコのお茶会への差し入れだ。ヤエコは、こちらの食事にもなじんでいるようだから、きっと面白がってくれる。 二つは料理人達の味見用に残しておくことにした。

「あとで、感想を教えてね」

「かしこまりました!」

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