転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
リヒャルトは、背が高く、身体はよく鍛えられている。整った容姿の持ち主だ。若い女性の大半がうっとりしそうな美貌の持ち主であるのに、以前のリヒャルトは微笑むことなどめったになかった。
無表情だった彼が、こうしてヴィオラには素直な表情を見せてくれるようになったのは、ヴィオラが巻き込まれた事件をきっかけとしてのものであった。
「今日は市場に視察に行っていた。これは、土産だ」
「わあ、ありがとうございます。雪の中、大変でしたね」
リヒャルトが渡してくれた紙袋の中には、綺麗な紙にくるまれたキャンディがたくさん入っていた。
リヒャルトは視察に出た時には、こうやって土産物を買ってきてくれるし、献上された品の中にヴィオラが気に入りそうなものがあれば気前よくプレゼントしてくれる。
「多少の雪なんて、たいしたことはないさ。茶を飲んでいるところだったのか。邪魔をしたな」
「リヒャルト様、あの、よかったら一緒に……」
「片付けないといけない書類がある。また今度にしよう」
片手を伸ばしたリヒャルトは、ヴィオラの頭を撫でてくれる。
頭を撫でてすぐ出ていったリヒャルトを見送りながら、残されたヴィオラは小さくため息をつく。
(そういう場合じゃないのは、わかっているんだけど……寂しいといえば寂しい)
もともとリヒャルトは、皇太子といえど軽んじられる立場にあった。
それは、リヒャルトの母、アデリナ皇妃が後ろ盾のない弱い立場にあったというのが大きな理由だ。
無表情だった彼が、こうしてヴィオラには素直な表情を見せてくれるようになったのは、ヴィオラが巻き込まれた事件をきっかけとしてのものであった。
「今日は市場に視察に行っていた。これは、土産だ」
「わあ、ありがとうございます。雪の中、大変でしたね」
リヒャルトが渡してくれた紙袋の中には、綺麗な紙にくるまれたキャンディがたくさん入っていた。
リヒャルトは視察に出た時には、こうやって土産物を買ってきてくれるし、献上された品の中にヴィオラが気に入りそうなものがあれば気前よくプレゼントしてくれる。
「多少の雪なんて、たいしたことはないさ。茶を飲んでいるところだったのか。邪魔をしたな」
「リヒャルト様、あの、よかったら一緒に……」
「片付けないといけない書類がある。また今度にしよう」
片手を伸ばしたリヒャルトは、ヴィオラの頭を撫でてくれる。
頭を撫でてすぐ出ていったリヒャルトを見送りながら、残されたヴィオラは小さくため息をつく。
(そういう場合じゃないのは、わかっているんだけど……寂しいといえば寂しい)
もともとリヒャルトは、皇太子といえど軽んじられる立場にあった。
それは、リヒャルトの母、アデリナ皇妃が後ろ盾のない弱い立場にあったというのが大きな理由だ。