転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
オストヴァルト帝国では、皇帝と皇太子に限っては複数の妃を持つことが許されている。
そして皇帝は、長年にわたりティアンネという名の妃をたいそう寵愛していた。
その分、皇妃に対する関心は薄く、また皇妃自身も病弱であったことから、政治の場に姿を見せることは少なかった。
だが、ティアンネ妃は皇妃の排除を企んだ罪により、離宮に追放。これがヴィオラの巻き込まれた事件である。
今は皇妃と皇帝の仲も今はある程度修復されている。ふたりの仲が改善した背景にもヴィオラの働きがあった。
リヒャルトがヴィオラを可愛がってくれるのにはそんな事情もある。彼が"妹のように"ヴィオラを可愛がってくれているのは、その恩を感じてくれているからだ。
それはもちろん、ヴィオラもわかっている。わかってはいるのだけれど……。
(子ども扱い、だもんね……)
リヒャルトがくれたキャンディの紙袋を大切に棚に置き、お茶のテーブルへと戻る。
ヴィオラは十二歳、リヒャルトは二十四歳。十二歳も離れていれば、子供扱いで当然だ。けれど、その年齢差がヴィオラにはもどかしい。
「ヴィオラ様、お茶のお代わりはいかがですか?」
「もらえる?」
ため息をついている間に、カップはほとんど空になっていた。ニイファは、すばやくそれに気がついて、新しいお茶をいれてくれる。
気を取り直し、ニイファとのお茶の時間を楽しもうとした。