転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
満月宮での食事にヴィオラのアイディア――前世から引き継いだもの――が採用されることも多く、特にミナホ国の食材はヴィオラの方が厨房の料理人よりたくさんの知識を持っている。
皇帝の胃袋も掴んだ結果、市場に行きたいという願いが却下されたことはないし、今のところ市場以外に出かけたいと思ったこともない。
「――そんなのおかしいだろ。俺が絶対助けてやる」
身を乗り出したままのタケルがそう宣言する。
(この人、人の話全然聞いてない……!)
内心でヴィオラは悲鳴を上げたけれど、タケルはまったく気にしていない様子で、話を打ち切って談話室を出て行った。
タケルと別れ、部屋に戻ったヴィオラは、頭を抱え込んでしまった。
(どうしよう、大変なことになっちゃった……)
タケルは人の話を聞いていないし、ヤエコはタケルとヴィオラの縁談に積極的に乗り出すつもりのようだ。
近いうちに、イローウェン王国に向かうというヤエコをとめることなんて、ヴィオラにできるはずもない。
(お父様はきっと、大喜びで受け入れるんだろうな……)
ヴィオラは十二歳。この世界の王族ならば、結婚はもう少し先になるにしても、そろそろ縁談が出始めてもおかしくはない。
いまだに婚約者の決まっていないリヒャルトの方が、この世界においては不自然な存在なのだ。
皇帝の胃袋も掴んだ結果、市場に行きたいという願いが却下されたことはないし、今のところ市場以外に出かけたいと思ったこともない。
「――そんなのおかしいだろ。俺が絶対助けてやる」
身を乗り出したままのタケルがそう宣言する。
(この人、人の話全然聞いてない……!)
内心でヴィオラは悲鳴を上げたけれど、タケルはまったく気にしていない様子で、話を打ち切って談話室を出て行った。
タケルと別れ、部屋に戻ったヴィオラは、頭を抱え込んでしまった。
(どうしよう、大変なことになっちゃった……)
タケルは人の話を聞いていないし、ヤエコはタケルとヴィオラの縁談に積極的に乗り出すつもりのようだ。
近いうちに、イローウェン王国に向かうというヤエコをとめることなんて、ヴィオラにできるはずもない。
(お父様はきっと、大喜びで受け入れるんだろうな……)
ヴィオラは十二歳。この世界の王族ならば、結婚はもう少し先になるにしても、そろそろ縁談が出始めてもおかしくはない。
いまだに婚約者の決まっていないリヒャルトの方が、この世界においては不自然な存在なのだ。