転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
 と、リネットが教えてくれた。

「ラファエラ妃の方はどうですか? ヤエコ様は、ティレン王国とも交渉したいようでしたけれど……」

「ラファエラ妃も反対していたと思います。でも、側近がしばしば訪れているようですから、ラファエラ妃とは交渉の余地があると思っているのかもしれませんね」

「全然知りませんでした。紹介状のことしか知らなかったので」

 ヤエコのことは気になるが、ヴィオラが口を挟むべきことでもないと思うので、自分から交渉がどうなっているのかと聞いたことはなかった。

 皇妃やリヒャルトもあえてヴィオラにはそのあたりの話はしなかったから、他の少女達の方が事情に通じている四津あ。

「ヴィオラ様は、皇妃様のお側にいるのに情報が古いようですわね」

 と、スティーシャがちょっと尖った声を出す。たしかに、皇妃に可愛がってもらっているのは、皇族に嫁ごうとしているジャニスにとってはうらやましい話だろう。

「……ヤエコ様とは、お茶会のお菓子を作るのをお手伝いしたので、お話する機会があっただけです。特にそれ以外は、何も」

 本当はヴィオラのためにわざわざヤエコと話す機会を作ってもらったのだが、余計な嫉妬心は買わない方がいい。だから、そうごまかす。ヴィオラだって、この程度のことはできるのだ。

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