『またね。』
楽しそうに笑う鈴。
ハラハラしている顔。
食べ物を食べている時の幸せそうな顔…
…クルクル表情が変わって見ていて楽しい。
「うん、あれね。」
カメラはとりあえず締まって僕は鈴のところへ行く。
「…え?
…もしかして…輝…?」
この時、すれ違った女性が僕を見て驚いた顔をしていたなんて僕は知らなかった。

「ー…ふぁ〜、楽しかった〜」
「楽しめたならよかった。」
時刻は昼の2時。
遊園地を出て隣の水族館へ向かう。
チケット代を払って僕は中に入る。
「何が見たい?」
「あのね、くらげ!」
…くらげ…
鈴にピッタリだね。
僕は鈴と共にくらげの元へ。
案外近いところに僕の好きなシャチがいる。
「…わあっ…綺麗…」
鈴は食い入るようにくらげを見つめる。
くらげを見ている鈴を見るだけで僕は満たされる。
静かにカメラのシャッターを押して僕は隣に向かう。
「輝、今日は連れてきてくれてありがとうね。」
「ん?」
「でも、行くなら行くって言ってよ!」
突然鈴が顔を上げてちょっと拗ねた顔で僕を見る。
「…え?」
「輝に全部払ってもらっちゃったじゃん!」
「…だって突然行こうと思ったのは僕だし、このくらいする…」
「それがダメなのー!
だから、30分後シャチの前集合!」
「えっ?!」
鈴は猛ダッシュで僕の前から消える。
…あんなに走ったら心臓に悪いんじゃ…
追いかけるのも気が引ける。
…売店でも行くか…
鈴にプレゼント買おう…
近くの売店に向かって僕は品物を見て回る。
…少し前まではクラスの委員でありマドンナ的存在の鈴と仲良くなるなんて思ってなかったのに…
それどころか名前呼びまでしちゃうくらい仲良くなれるなんて…思ってなかったな…
「…これ可愛い。」
鈴みたいに愛くるしい顔のイルカのストラップ。
薄ピンクで可愛い。
「あ…」
くらげ好きだって言ってたよな。
くらげの可愛いネックレスもある。
…あー、ペアなのか…
「あれ?なんで輝いるの?」
「ん?あ、鈴。」
後ろを振り向くと鈴がいた。
…良かったレジ通したあとで…
カバンにこっそり入れよう…
「見てみて!ペアのネックレスあるよ!」
「…そうだね。」
「…輝が良ければ一緒に付けない?
あ、友達って意味で!」
真っ赤な顔をしてアワアワしている鈴。
…そこまで言われると…
正直ショックなんだけどな。
鈴の気持ちが僕にないのを知ってるから余計辛い…
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