『またね。』
第3話
【卯月輝side】
「輝おはよう!」
「おはよ鈴」
朝からハイテンションな鈴。
「どうしたの、ご機嫌だね。」
この土日にいいことでもあったのか。
「あのね、今度お父さんが輝連れておいでって言ってくれたの!」
…お父さん?
鈴、僕のことそんなに話してるの?
「学校で仲良しの卯月輝の話してたらお父さんがぜひ会いたいって!」
…言ってもらえるのは嬉しいけど。
「分かった、今度お父さんがいる日にお邪魔するよ。」
「うん!お父さんにも伝えとくね!」
鈴は僕の手をブンブン振って満足したのか大人しく自転車の後ろに乗った。
「あ、輝。
今お父さんに連絡したら今日是非って言ってるんだけど…」
今日?
早くないかい?
まあいいか。
今日は 僕もアルバイトないし。
「いいよ、行こうか。」
「ほんと!?」
鈴は僕に抱きついて嬉しそうにしている。
「お父さんもちゃんと挨拶したいんだって!」
…僕も挨拶しておかないとな。
心臓を提供するドナーだから。
「なんかお父さん、輝と2人でも話したいことあるんだって。いい?」
…病院の先生にでも聞いたのかな。
きっと話したい事って、心臓の事だろうな…
「…もちろん。」
「嬉しい!」
鈴は本当に嬉しそうにニコニコ笑う。
…この笑顔。
ずっと見ていたいなあ…
僕の大切な鈴。
友達以上は望まないから。
これ以上望まないから…
鈴が手術終わるまで笑顔でいて欲しい…
「…じゃあ、帰りに行けばいいかな?」
「うん!」
学校の駐輪場で僕は鈴を降ろす。
自転車を停めてから並んで美術室に向かう。
…いつものパターンだ。
仲良くなって1ヶ月も経ってないのに…
「ねえ、いつ出来るの?」
「…鈴の手術の日までには出来るよ。」
…もう鈴の手術の日は決まっている。
後、2週間もない。
「ドナーの人、健康な人なんだって、良かったあ〜」
…健康だけが取り柄の僕だからね。
「でも、その人に悪いなあ…その人の人生奪っちゃうんだから…」
…鈴は優しいね。
僕みたいななんの取り柄もない人間は生きていても仕方ないからいいんだよ。
【卯月輝side END】
【佐倉鈴side】
ドナーが見つかって嬉しい気持ちが先走りすぎて無意識に輝を傷つけてた私。
…ブーッ…ブーッ…
静かな美術室に携帯のバイブ音が響く。
「電話鳴ってるよ?」
「…?ほんとだ。」
カバンから携帯を取り出した輝。
「…?」
画面を見て不思議そうな顔をしてとりあえず出る。
「…もしもし?」
知らない人からだったのか。
明らかに顔が怪訝そうだ。
「輝おはよう!」
「おはよ鈴」
朝からハイテンションな鈴。
「どうしたの、ご機嫌だね。」
この土日にいいことでもあったのか。
「あのね、今度お父さんが輝連れておいでって言ってくれたの!」
…お父さん?
鈴、僕のことそんなに話してるの?
「学校で仲良しの卯月輝の話してたらお父さんがぜひ会いたいって!」
…言ってもらえるのは嬉しいけど。
「分かった、今度お父さんがいる日にお邪魔するよ。」
「うん!お父さんにも伝えとくね!」
鈴は僕の手をブンブン振って満足したのか大人しく自転車の後ろに乗った。
「あ、輝。
今お父さんに連絡したら今日是非って言ってるんだけど…」
今日?
早くないかい?
まあいいか。
今日は 僕もアルバイトないし。
「いいよ、行こうか。」
「ほんと!?」
鈴は僕に抱きついて嬉しそうにしている。
「お父さんもちゃんと挨拶したいんだって!」
…僕も挨拶しておかないとな。
心臓を提供するドナーだから。
「なんかお父さん、輝と2人でも話したいことあるんだって。いい?」
…病院の先生にでも聞いたのかな。
きっと話したい事って、心臓の事だろうな…
「…もちろん。」
「嬉しい!」
鈴は本当に嬉しそうにニコニコ笑う。
…この笑顔。
ずっと見ていたいなあ…
僕の大切な鈴。
友達以上は望まないから。
これ以上望まないから…
鈴が手術終わるまで笑顔でいて欲しい…
「…じゃあ、帰りに行けばいいかな?」
「うん!」
学校の駐輪場で僕は鈴を降ろす。
自転車を停めてから並んで美術室に向かう。
…いつものパターンだ。
仲良くなって1ヶ月も経ってないのに…
「ねえ、いつ出来るの?」
「…鈴の手術の日までには出来るよ。」
…もう鈴の手術の日は決まっている。
後、2週間もない。
「ドナーの人、健康な人なんだって、良かったあ〜」
…健康だけが取り柄の僕だからね。
「でも、その人に悪いなあ…その人の人生奪っちゃうんだから…」
…鈴は優しいね。
僕みたいななんの取り柄もない人間は生きていても仕方ないからいいんだよ。
【卯月輝side END】
【佐倉鈴side】
ドナーが見つかって嬉しい気持ちが先走りすぎて無意識に輝を傷つけてた私。
…ブーッ…ブーッ…
静かな美術室に携帯のバイブ音が響く。
「電話鳴ってるよ?」
「…?ほんとだ。」
カバンから携帯を取り出した輝。
「…?」
画面を見て不思議そうな顔をしてとりあえず出る。
「…もしもし?」
知らない人からだったのか。
明らかに顔が怪訝そうだ。