【番外編完結】初恋にピリオドを
部屋はとても広かった。

広いリビングには大きなソファーと上品なローテーブル、チェストの上にはたくさんの花が生けられていて、花瓶もとても豪華だ。

リビングから左に曲がると奥にはベッドルームがあった。

ダイニングテーブルに鞄を置き、ふかふかのソファーに腰かけると龍くんは私に向かって両手を広げた。

龍くんが座ると顔が近くなり丁度私を抱き締めやすいのだ。

一気に頬に赤みが差したのが自分でも分かる。

俯きながらゆっくり近付くと、先程のエレベーターの中で抱き締められたときと同じように優しく包み込むように抱き締められた。

「もう一回確認していい?龍くんは誰とも婚約してないんだよね?」

「そんな話さっき初めて聞いた」

「ん………そっか」

その答えに安心して龍くんの首に腕を回した。

それからは今までの事を話した。

龍くんの渡米してからすぐに起こった困り事や、私の大学生活の事や家族の事。

私が話している途中から龍くんは離れていた3年分のキスをするかのように目元、額、鼻筋、頬、唇にキスの雨を降らせ、それは止むことはなかった。
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