キミの溺愛は甘すぎる。
この家には私たち以外にも組関係の人たちが一緒に住んでいるため、お風呂場はふたつある。
そのため優翔も、もう片方のお風呂を使い入るつもりだったのだ。
最悪だ、タイミングが悪い。
せめて部屋の前で心の準備くらいさせて欲しかった。
今の私の心臓は苦しいくらいバクバク鳴っている。
ただの緊張と言えないだろう。
せっかくこんな格好をしたというのに、だんだん余裕がなくなっていくのがわかる。
「ゆ、優翔も今からお風呂に入るんだ?」
平静を装っているつもりだけれど、全身に熱が回る。
お風呂上がりだということもあるかもしれないが、今とても熱い。
「…………」
「優翔…?」
少し俯き加減だったけれど、視線をあげてみれば。
優翔はじっと私を見つめるだけで反応を示さない。