キミの溺愛は甘すぎる。







覚えているような夢はひとつもみなかった。
ただ深い眠りについていて。

それから自然と現実に引き戻されるかのように、私はそっと目を開けた───



「……っ、鈴華!」

真っ先に視界に映ったのは、優翔のドアップで。
思わず飛び起きそうになったのを必死でこらえた。


さらに優翔は何やら焦っている様子であることに気がついた私。

そもそも着替えていない、制服姿の優翔の時点で違和感があった。


私たちが家に帰ってきたらまず着替えることが習慣化されているからだ。



「良かった…ねぇ鈴華、いつからしんどかったの?
どうして言ってくれなかったの?

昨日泣いていたのはしんどかったからなんだね、気づいてあげられなくてごめん」

「お、おちついて…」


優翔の様子がいつもと違う。

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