キミの溺愛は甘すぎる。
言葉を失い、呆然とする私に対して山城先輩はニヤッと口角をあげていて。
「じゃあな。
せっかく気を許せた相手なのに、残念だけど」
いや、まったく残念そうに見えない。
むしろ楽しそうな表情をしながら、山城先輩はその場から去ってしまった。
そしてあまり良くない空気が私たちの間を流れる。
そりゃそうだ。
恋人関係になって早速、他の男の人に頬とはいえキスをされたのだ。
「……鈴華」
「は、はい」
名前を呼ばれて思わずビクッと肩が跳ねてしまう。
「他の男にキス、されちゃったね」
なんだろう。
優しい声音のはずなのに、圧があって怖い。
「今のはその、事故っていうか…」
「大丈夫だよ鈴華。俺が上書きしてあげるから」
目を細めてにっこりと綺麗な笑みを浮かべる優翔が怖くて仕方がない。