キミの溺愛は甘すぎる。
私たちの関係は少し特殊である。
“幼なじみ”ではあるが、周りが思うような“幼なじみ”とはまた違う。
生まれた時から同じ家に住む、少し不思議な関係。
それもそのはず、私たちは“一般的な家庭”とは程遠い形で生きているのだ。
───私たちが今いる場所は裏社会である“ヤクザ”の世界。
簡単に言ってしまえば優翔の祖父が組長であり、お父さんが若頭である。
つまり優翔が後を継ぐのもほぼ確定で。
高校を卒業するのと同時に若頭に昇進し、彼のお父さんが組長となる予定らしい。
そして現在の組長は引退するのだと。
一方私の家族は、彼の組に仕えている。
私のお父さんは若頭の補佐であるが、同じタイミングで本部長へと変わるらしい。
まあ女である私にはあまり関係ないと思いたい。
けれど風の噂で聞いた。
どうやら私の両親や彼の両親は、私を“若頭の補佐”にする予定なのだと。